素材系製造業における設備計画・設備調達・設備改善・保全・海外工場運営についてお話できます
私は長年素材メーカーで設備にかかわる業務に携わりました。58歳をむかえて、部長職を降り後進に道を譲る時期と思い早期退職に応募しましたが、知力、体力共にまだまだ働ける年齢であり、残りの人生をどう過ごすか模索してきました。別の企業に再就職するという選択の他に、フリーランスでエンジニアリング業務に関わることができないかという結論に至ったわけです。
35年のキャリアで、ひたすら設備にかかわる業務に携り、常に製造現場に近いところに身を置き、設備保全、設備計画及び設計、プロセス開発に従事し、さらにキャリアの半分以上は海外関係の業務でした。海外出張だけでなく、2度の駐在員も経験しました。
海外工場の幹部の時及び国内でのエンジニアリング部長の際はいっさい実務をせず、技術者として管理者としての仕事の進め方や物の考え方について、部下の指導に徹してきましたが、日本人に対しても外国人に対しても、言ってきた事はほとんど同じです。しかし、国民性によって接し方は異なる必要があるというのも、身をもって経験しました。
早期退職を決断した理由の一つとして、部下らにはこれ以上言うことは無いと感じ、自分が残る事自体が部下の成長を妨げることであり、職場を去る決断をしました。今後は、自分のスキルや経験が他の企業のお役に立つのではないかと考えています。
■その他
どちらでご経験されましたか?: 前 素材メーカー エンジニアリング部長
いつごろ、何年くらいご経験されましたか?: 昭和56年4月 素材メーカーに入社
昭和56年~ 製造ラインの設備保全及び新規事業の設備導入を担当
平成6年~ 表示体部材用新設備の導入及び中国工場の建設担当
平成10年~ 記憶媒体関係の新設備導入及びフィリピン工場増設建設リーダー
平成12年~ フィリピン現地法人に出向 設備担当副社長
平成15年~ エンジニアリング子会社に出向 中国委託加工先への設備販売を担当
平成17年~ 中国工場への新規事業ライン建設リーダー
平成20年~ 中国現地法人に出向 工程部 部長
平成22年~ 新素材開発設備のエンジニアリング及びプロセス開発リーダー
平成24年~ 特殊用途事業分野のエンジニアリング部長
平成29年 早期退職制度により3月末退職。4月より個人事業主として業務を開始。
その時どのような立場や役割でしたか?: フィリピン工場にてエンジニアリング部長
中国工場にて工程部長
特殊素材事業部門のエンジニアング部長
得意な分野・領域はなんですか?: ・機械技術者として、機械工学及び機械要素の基本的知識やスキル(プロジェクト管理、工事管理、改善活動の指導、AUTOCADによる機械設計等)を身に着けています。
・部下のエンジニア及び保全現場(海外含む)の労務管理の経験があります。
・電子部品及び特殊素材の事業にかかわってきましたので、多種多様な設備に関与してきました。
- 各種ガラス加工機(切断機、研削機、研磨機、洗浄機、検査機、搬送機器類等)
- 光学膜、透明伝導膜及び磁気膜用真空成膜装置(スパッター、蒸着、イオンプレーティング等)
- 小径レンズの加工機(成形、切断、研磨等)、組立機及び専用光学検査機等
- ガラス溶融炉及び成形設備、化学強化炉(溶融塩)
- 産業用ロボット及び自動化設備、搬送装置類
- 工場ユーティリティ(給水、排水処理、純水装置、空調及びクリーンルーム等)
- 海外工場建設計画
・現場で起こりうる設備トラブルについては、概ねイメージすることができます。
・仕様書のまとめ方や取引上の注意点を理解しています。
・DR及びMP設計等の手法で、手直しの無い完成度の高い設計を心がけてきました。
・機構や原理を理解し、種々の問題解決手法を用います。(PM分析、なぜなぜ分析、QCストーリー等)
・清浄環境設備の計画や導入、運転管理の経験があります。(クリーンルームや超純水装置)
・清浄環境下(クリーンルーム内や純水接液部)設備のあるべき仕様についての知見があります。
・幹部管理職候補に対するメンター(指導者)に指名され、メンタリングプログラムの経験があります。
・駐在員の経験から、外国人に対する指導や労務管理及び海外危機管理の経験があります。(疾病、治安等)
・海外出張経験(フィリピン及び中国多数、北米6 欧州4 台湾1、ベトナム2等)
・海外案件の経験から、国際物流の流れ、貿易関連法規の知識やトラブルの経験があります。
・フィリピン(マカティ、ラグナ地域)と中国(上海、蘇州地域)には、人脈や土地勘があります。(別のメーカーに転職し独立して設備関係の会社を興している者もいます)
・エンジニアリング部長での上部組織はグローバル組織であり、英文メール及び英文資料を日常的に取り扱っていましたので英文には困りません。(直属上司はイギリス人) TOEIC 750点
この分野は今後どうなると思いますか?: 中国製の設備は20年前はほとんど使い物になりませんでしたが、10年ぐらい前から設計段階から装置メーカーを指導することにより、量産ラインの使用に耐える物になってきました。現在では、日本製と遜色ない装置を製作する装置メーカーもでてきています。価格は日本製の5~7割前後です。
誇りに思う成果はなんでしたか?: 海外工場での故障低減活動と設備の現地調達、ローカル人材の指導と育成
新素材開発リーダーとしてプロセス開発と設備開発の同時進行
プロフィール 詳細を見る
職歴
中国蘇州市 自動化装置メーカー
- 顧問 2017/10 - 現在
カイゼンエンジニアリング
- 個人事業主 コンサルタント、顧問 2017/4 - 現在
前 素材メーカー
- エンジニアリング部長 1981/4 - 2017/3